薙野 美玖――それは清香たち……正確に言えば芹香とは、前世で繋がりのある人物だ。
前世の美玖は、清香が仕える中宮――芹香の末の妹だった。上臈女房として、ともに後宮で働いていたこともある。
(芹香が――中宮が、出産の直後に亡くなってしまって……私はそれ以降、宮仕えを辞めてしまったから、詳しくは知らないけれど)
美玖はただの上臈女房で終わらなかった。それだけは確かだ。けれど、詳しいことは思い出せそうにない。
(怖いけど、でも……確かめなくちゃ)
清香はフラフラと立ち上がると、玄関に向かって走った。
「お姉ちゃん?どこか出かけるの?」
先程まで読書に勤しんでいた清香が唐突に行動を開始したことが不思議らしい。芹香が玄関を覗きながら不思議そうな表情を浮かべている。
「うっ……うん。ちょっと図書館まで行ってくる」
「そう? 気を付けてね」
どうやら動揺はうまく隠せているらしい。芹香は微笑みながらそう言ってくれた。
「ありがとう!芹香も!東條君から離れちゃだめよ!」
ビシッと指を突き立てて清香がそう言う。
「……? うん、わかった」
玄関ドアの隙間から、不思議そうに首を傾げつつ、小さく頷く芹香が見えた。
前世の美玖は、清香が仕える中宮――芹香の末の妹だった。上臈女房として、ともに後宮で働いていたこともある。
(芹香が――中宮が、出産の直後に亡くなってしまって……私はそれ以降、宮仕えを辞めてしまったから、詳しくは知らないけれど)
美玖はただの上臈女房で終わらなかった。それだけは確かだ。けれど、詳しいことは思い出せそうにない。
(怖いけど、でも……確かめなくちゃ)
清香はフラフラと立ち上がると、玄関に向かって走った。
「お姉ちゃん?どこか出かけるの?」
先程まで読書に勤しんでいた清香が唐突に行動を開始したことが不思議らしい。芹香が玄関を覗きながら不思議そうな表情を浮かべている。
「うっ……うん。ちょっと図書館まで行ってくる」
「そう? 気を付けてね」
どうやら動揺はうまく隠せているらしい。芹香は微笑みながらそう言ってくれた。
「ありがとう!芹香も!東條君から離れちゃだめよ!」
ビシッと指を突き立てて清香がそう言う。
「……? うん、わかった」
玄関ドアの隙間から、不思議そうに首を傾げつつ、小さく頷く芹香が見えた。



