(私も、芹香に出会えていなかったらと思うと、ゾッとするもの)
幼い頃から鮮明に残っていた清香の前世の記憶。それを口にするたび、両親は不思議な表情を浮かべていた。あまり真面に取り合ってはくれなかった。けれどそんな中、芹香は理解できないながらに、ニコニコと清香の話を聞き続けてくれたのだ。
物心が付いて以降は、清香は芹香に前世の話をしなくなった。けれど、あの混沌とした記憶たちを、誰にも受け止められず持て余していたとしたら、今頃清香はどうなっていただろう。そんなことを考えると、背筋がぶりると震えるのだ。清香は心に浮かんだ靄を振り払うかのように、グッと拳を握りしめた。
(……ん?)
その瞬間、温かい何かが清香の拳を包み込んだ。清香は恐る恐る、覆われた方の手先を凝視する。そこには、清香のものではない、大きくて白い手のひらがあった。
「なんだ?」
崇臣は何食わぬ表情でそう口にする。清香の眉間に皺が寄った。
「手」
端的に伝えるも、崇臣は憮然とした表情のままだ。
「手が何だ」
そう言って崇臣は、清香から見える位置に、重なりあった二人の手を掲げた。途端に心臓がトクンと跳ね、体温が上がるが、それには気づかぬふりをしながら、清香は唇を尖らせた。
幼い頃から鮮明に残っていた清香の前世の記憶。それを口にするたび、両親は不思議な表情を浮かべていた。あまり真面に取り合ってはくれなかった。けれどそんな中、芹香は理解できないながらに、ニコニコと清香の話を聞き続けてくれたのだ。
物心が付いて以降は、清香は芹香に前世の話をしなくなった。けれど、あの混沌とした記憶たちを、誰にも受け止められず持て余していたとしたら、今頃清香はどうなっていただろう。そんなことを考えると、背筋がぶりると震えるのだ。清香は心に浮かんだ靄を振り払うかのように、グッと拳を握りしめた。
(……ん?)
その瞬間、温かい何かが清香の拳を包み込んだ。清香は恐る恐る、覆われた方の手先を凝視する。そこには、清香のものではない、大きくて白い手のひらがあった。
「なんだ?」
崇臣は何食わぬ表情でそう口にする。清香の眉間に皺が寄った。
「手」
端的に伝えるも、崇臣は憮然とした表情のままだ。
「手が何だ」
そう言って崇臣は、清香から見える位置に、重なりあった二人の手を掲げた。途端に心臓がトクンと跳ね、体温が上がるが、それには気づかぬふりをしながら、清香は唇を尖らせた。



