(本当、わけわかんない……)
気づけば清香の心臓は、ドキドキと高鳴っていた。まるでスローモーションになったかのように、周囲の動きがゆっくりになり、喧騒が遠ざかる。自分の心臓の音が聞こえる感覚は、現世では初めてのことだった。
「清香」
崇臣の声が響いた。耳ではなく、心臓に直接響くような感覚だった。
(あんなこと、思い出したせいだ)
自分であって、自分でない人の記憶。それは現実のことなのか、単なる夢なのか、清香にもハッキリと断言することはできない。
けれど、唇に今も残る柔らかく温かな感触が、あれは現実だったのだと訴えかけている。
(いや、違う)
清香は驚きに目を見開いた。
なぜなら、清香が今まさに温もりを感じている唇は、決して過去のものなどではない。紛れもなく、清香自身のものだったからだ。
間近に見える、崇臣の白い肌に切れ長の瞳。唇を柔らかな何かが塞いでいるせいで、うまく呼吸ができなかった。
(ホント、わけがわからないんですけど~~~~!)
混乱で処理能力の落ちた頭を抱えながら、清香はギュッと目を瞑ったのだった。
気づけば清香の心臓は、ドキドキと高鳴っていた。まるでスローモーションになったかのように、周囲の動きがゆっくりになり、喧騒が遠ざかる。自分の心臓の音が聞こえる感覚は、現世では初めてのことだった。
「清香」
崇臣の声が響いた。耳ではなく、心臓に直接響くような感覚だった。
(あんなこと、思い出したせいだ)
自分であって、自分でない人の記憶。それは現実のことなのか、単なる夢なのか、清香にもハッキリと断言することはできない。
けれど、唇に今も残る柔らかく温かな感触が、あれは現実だったのだと訴えかけている。
(いや、違う)
清香は驚きに目を見開いた。
なぜなら、清香が今まさに温もりを感じている唇は、決して過去のものなどではない。紛れもなく、清香自身のものだったからだ。
間近に見える、崇臣の白い肌に切れ長の瞳。唇を柔らかな何かが塞いでいるせいで、うまく呼吸ができなかった。
(ホント、わけがわからないんですけど~~~~!)
混乱で処理能力の落ちた頭を抱えながら、清香はギュッと目を瞑ったのだった。