暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~

「さあ、どうですか?」

向かった先はやはり副社長のもと。
ソファーに座りタブレットを開いていた副社長が私を振り返る。

「うん、いいね。別人みたいだ」
「スタイルのいい美人さんなので、きれいめで仕上げました。靴もそろえますか?」
「ああ、頼みます」
「え、ちょっと待ってください。靴は結構です」
私は慌てて止めに入った。

私のお財布では、こんなに高い服は買えない。
それでもここまで連れてきてもらったからには今更断れないのだろうからカードで分割払いにしようと思うけれど、さすがに靴までは無理だわ。

「いいから、靴も一緒に見繕って下さい」
「副社長っ」

ギロリッ。
ああ、間違えた。
「創介さん、やめてください」
意地悪が過ぎるよ。

「かまわないから、これで」
そう言って店員に差し出した真っ黒なカード。

え、ええ。
「副、じゃなくて、創介さん、」
「うるさいなあ。お前は黙って着替えて来い。まだ値札が付いたままだろ?」
「それはそうですが・・・」

結局再びフィッティングルームに戻された私はきれいなミントグリーンのワンピースに着替えることになった。
そして、戻ると大きな紙袋をいくつも抱えた副社長がいて、そのままお店を後にする。