「こ、こんにちは、綾香さん」
現れたのは白鳥綾香さんだった。
先日の創介との熱愛報道後は電話でしか話すことがなく、直接会うのは本当に久しぶり。
一時期はかなり興奮気味の電話を受けた気がするから、正直あまり会いたくはない人だ。
「ずいぶん楽しそうね」
私を見て、美愛を見て、それから桃ちゃんを見た綾香さんが意地悪そうな笑みを浮かべる。
「ええ、楽しいですよ。とっても」
綾香さんの表情を見て何かを感じ取った桃ちゃんが強気に応戦するけれど、
「いい身分よね。高井商事ってずいぶん経営不振らしいじゃないの。融資がどうなるか微妙だって父が言っていたわ。それなのに1人娘は遊び惚けているなんて、呆れるわ」
「なんですって」
顔を真っ赤にした桃ちゃんが勢いよく立ちあがった。
桃ちゃんの里親である高井家は会社を経営している。
一条コンツェルンほどの大企業ではないが、名の知れた商事会社だ。
ただ、ここ最近の不景気で業績の不調が続いているらしい。そのことは創介も心配していた。
綾香さんは桃ちゃんの素性がわかっていて言っているんだ。
「それとも、困れば一条本家に泣きつけばいいとでも思っているのかしら。さすが一条の血を引くお嬢様は違うわね」
「綾香さん」
さすがにそれは言いすぎでしょうと、私が身を乗り出そうとしたその時。
「あなたこそずいぶん失礼な方ね」
美愛が先に口を開いた。
どう考えても綾香さんが文句を言い意地悪したいのは私のはず。
創介さんと婚約した私を恨んでいるはずだから、桃ちゃんは完全なとばっちりでしかない。
ここは何とかして納めないとと、私は立ち上がった。
現れたのは白鳥綾香さんだった。
先日の創介との熱愛報道後は電話でしか話すことがなく、直接会うのは本当に久しぶり。
一時期はかなり興奮気味の電話を受けた気がするから、正直あまり会いたくはない人だ。
「ずいぶん楽しそうね」
私を見て、美愛を見て、それから桃ちゃんを見た綾香さんが意地悪そうな笑みを浮かべる。
「ええ、楽しいですよ。とっても」
綾香さんの表情を見て何かを感じ取った桃ちゃんが強気に応戦するけれど、
「いい身分よね。高井商事ってずいぶん経営不振らしいじゃないの。融資がどうなるか微妙だって父が言っていたわ。それなのに1人娘は遊び惚けているなんて、呆れるわ」
「なんですって」
顔を真っ赤にした桃ちゃんが勢いよく立ちあがった。
桃ちゃんの里親である高井家は会社を経営している。
一条コンツェルンほどの大企業ではないが、名の知れた商事会社だ。
ただ、ここ最近の不景気で業績の不調が続いているらしい。そのことは創介も心配していた。
綾香さんは桃ちゃんの素性がわかっていて言っているんだ。
「それとも、困れば一条本家に泣きつけばいいとでも思っているのかしら。さすが一条の血を引くお嬢様は違うわね」
「綾香さん」
さすがにそれは言いすぎでしょうと、私が身を乗り出そうとしたその時。
「あなたこそずいぶん失礼な方ね」
美愛が先に口を開いた。
どう考えても綾香さんが文句を言い意地悪したいのは私のはず。
創介さんと婚約した私を恨んでいるはずだから、桃ちゃんは完全なとばっちりでしかない。
ここは何とかして納めないとと、私は立ち上がった。



