暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~

「わー、美愛ちゃん」
「桃ちゃん久しぶり」

駆け寄ってきた桃ちゃんと車いすの美愛が嬉しそうに抱き合った。
考えてみれば先月会ったばかりなのに随分大げさだなと、私は冷めた視線を向ける。

桃ちゃんと出かけるようになって、美愛はかなり元気になった。
顔色も良くなったし、食事も進むようになって、体調だってすごくいい。
このまま体の状態が安定してくれればいいなと、私は願っている。

「さあ、美愛ちゃんが行きたがっていた本屋さんに行ってから、春物の服を見に行きましょう」
すっかり計画が立てられている桃ちゃんのスケジュールに、
「そうね」
「賛成」
私も美愛も喜んで手を挙げた。

その後、美愛のリクエストで洋書専門の本屋に行き、桃ちゃん行きつけのブティックで両手で持てないほど大量の買い物をした。
たとえ車いすでなかなか家を出る機会がなくても年頃の女の子にとって洋服選びは幸せな時間なのだと、楽しそうに買い物をする美愛を見ながら私は実感していた。

「じゃあ次は、少し早いけれど夕食ね」
一通り見て回った後桃ちゃんに提案され、私も美愛も反対はしなかった。