「それで、もし高井桃と俺が特別な関係だったら望愛は逃げだそうとしていたのか?」
「そうですね。どう見ても私より桃ちゃんの方が創介さんの役に立てそうですし」
「それで納得できるのか?」
「それは・・・」

出来ないからこんなにも苦しんでいた。
この後どれだけ時間をかけても気持ちの整理はできなかったと思う。

「無理だろ?」
「そうかもしれません」

正直創介さんと離れられる自信はない。
だからこそ連絡を絶って、逃げ出そうとしたのかもしれないな。

「もう諦めろ。一条コンツェルンなんて重たい荷物を背負わせるようで申し訳ないが、俺はもう望愛を離してやる気はない」
「創介さん」

止まっていたはずの涙がまた込み上げてきた。
泣きたくなんてないのに止めることができず、私は誤魔化すように創介さんの肩に顔を埋めた。