暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~

「どうした、怒ったか?」
後ろから追いかけて来た創介さんの手が肩にかかり、私は足を止めた。

「いいえ、怒ってはいません。ただ、」
「ただ?」
「私だって、役に立ちたいんです」

創介さんが大変な時だからこそ、少しでも力になりたいと思っただけだ。

「バカだなあ」
「どうせ私はバカです」

自分が優秀な人間だと思ったことは無いし、何もできないのはよくわかっている。
それでも、

ギュッ。
突然背中から抱きしめられ、息が止まりそうになった。

「望愛は隣にいてくれればいい。それだけで俺は頑張れるんだから」
「創介さん」

ここは職場ですと言いそうになって、でも言えなかった。
この温もりを自分のものと言うつもりは無いけれど、今は彼の腕の中にいたい。それが私の本心だ。

「私はここにいますから、お仕事頑張ってください」
顔だけ見上げてお願いすると 、
「わかった」
穏やかな返事が返ってきた。

最近の創介さんは時々優しい顔をする。
普段不機嫌なことが多い分、時折見せる表情に私はやられてしまうのだ。