「この秋オープン予定のショップの商品が消えたんだよ」
「はあ?」

消えたって、どういう意味だろう。
頭の中に?がいっぱいの私は、創介さんに向けて首を傾げる。

「この秋オープンって、副社長が直接交渉して誘致したブランドですか?」
「そうだ」

なぜそんなことに・・・

海外の有名ブランドの多くは、日本の特に東京に必ずと言っていいほど直営のショップを構えている。
それだけ東京が大きな市場だってことでもあるのだが、そのブランド価値を保つためにはたくさんの店を出すのではなく、店舗数を絞って事業展開することが多い。
有名なブランドであればあるほど人気もあり、誘致する側としては出店してほしい。
しかし、ブランド側は乱立させたくない。そのせめぎあいが繰り返される。
今回のブランドは比較的新しいけれど、若者にも人気があり当然需要もある。
幸いなことに今はまだ日本に出店していないブランドだけにどうしても一条プリンスホテルに出店してほしいと、創介さん自ら交渉してきたのだ。
やっと契約にこぎつけ、オープンを待つばかりだったのに・・・