「従業員入り口のマットレスが捲れないよう、警備本部の方で粘着テープ止めをするそうだ。1ヶ月に1回のマット交換の時に、剥がして粘着テープも交換するらしい。
知らなかった。そんな改善策とか、考えなければいけないなんて。
「そうなんだ。確かに、あのマットが捲れると危ないのよね。マットレスが滑らないから足を取られるし、特に雨の日は元々の床も滑りやすいから」
私が転んで怪我をした時も、ちょうど雨が降り出していた。だから、会社に傘を取りに戻ったんだけれど……。
「失礼します。お連れ様が、お見えになりました」
あっ、いらしたんだ。
そう言えば、今、気づいた。
多分、私の記憶が正しければ、この部屋のいちばんの上座は、折原さんの隣の席。つまり、今から来る人がいちばん偉い立場の人ということになる。次が折原さんの席で、その次が高橋さんの席。いったい、どういう人なんだろう? 高橋さんの前に座る人は。
「こちらで、ございます」
「ありがとうございます」
「ただいま、お茶とおしぼりをお持ち致しますので」
「失礼します。遅くなりまして、申し訳ありません」
エッ……。
誰?
遅れてくる人は、てっきり男の人だとばかり思っていたが、部屋に入ってきたのは女の人だった。
いったい、この女の人と高橋さんとは、どういう関係なの?
「先輩、お疲れ様です」
「ごめんなさい。遅くなってしまって」
「とんでもないです。お忙しいのに無理言って、すみません。こちらに」
「はい」
うわっ。背の高い人……。
スラッと伸びた、長い脚。ロングの黒髪が、とてもよく似合っている。
「遅くなりまして、申し訳ございません」
その人は、テーブルを挟んで高橋さんの前に座ると、高橋さんに詫びながら頭を下げ、私にまで頭を下げてくれたので、慌てて頭を下げた。
「とんでもありません。こちらの方こそ、お忙しいところ、勝手なお願いを申し上げまして……。申し遅れました。私、全日本トラベル空輸の高橋と申します」
そう言って、高橋さんが名刺を差し出すと、女性も名刺入れから名刺を出した。
「初めまして。私、夏目と申します」
エッ……。
夏目さんという人は、私にまで名刺をくれた。
「あの……」
「部下の、矢島です」
「矢島と申します。あの、申し訳ありません。私、名刺は持っていないものですから……」
座ったままだったがお辞儀をすると、夏目さんは、笑みを浮かべながらゆっくりと頷いてくれた。
施設部電気設備担当? 電気主任技術者?
名刺に書いてある内容を見ても、さっぱり分からない。いったい、どんな仕事をされているんだろう?
それにしても、高橋さんと夏目さんは名刺交換をしているということは、初対面なんだ。でも、何故?
まさか……。これって、合コンのようなお見合い?
ま、まさか……ね。
「折原から、いつもお噂は伺っております」
「私のですか? ハハッ……。また、碌なこと言ってないんじゃないですか?」
「そんなことないわよ。いつも、褒めてますよねえ。先輩?」
「そうね。高橋さんの数字に対する模索は、まるで彼女を捜している彼氏のようだとか……」
数字に対する模索は、まるで彼女を捜している彼氏のよう?
な、何か、凄い表現だな。
知らなかった。そんな改善策とか、考えなければいけないなんて。
「そうなんだ。確かに、あのマットが捲れると危ないのよね。マットレスが滑らないから足を取られるし、特に雨の日は元々の床も滑りやすいから」
私が転んで怪我をした時も、ちょうど雨が降り出していた。だから、会社に傘を取りに戻ったんだけれど……。
「失礼します。お連れ様が、お見えになりました」
あっ、いらしたんだ。
そう言えば、今、気づいた。
多分、私の記憶が正しければ、この部屋のいちばんの上座は、折原さんの隣の席。つまり、今から来る人がいちばん偉い立場の人ということになる。次が折原さんの席で、その次が高橋さんの席。いったい、どういう人なんだろう? 高橋さんの前に座る人は。
「こちらで、ございます」
「ありがとうございます」
「ただいま、お茶とおしぼりをお持ち致しますので」
「失礼します。遅くなりまして、申し訳ありません」
エッ……。
誰?
遅れてくる人は、てっきり男の人だとばかり思っていたが、部屋に入ってきたのは女の人だった。
いったい、この女の人と高橋さんとは、どういう関係なの?
「先輩、お疲れ様です」
「ごめんなさい。遅くなってしまって」
「とんでもないです。お忙しいのに無理言って、すみません。こちらに」
「はい」
うわっ。背の高い人……。
スラッと伸びた、長い脚。ロングの黒髪が、とてもよく似合っている。
「遅くなりまして、申し訳ございません」
その人は、テーブルを挟んで高橋さんの前に座ると、高橋さんに詫びながら頭を下げ、私にまで頭を下げてくれたので、慌てて頭を下げた。
「とんでもありません。こちらの方こそ、お忙しいところ、勝手なお願いを申し上げまして……。申し遅れました。私、全日本トラベル空輸の高橋と申します」
そう言って、高橋さんが名刺を差し出すと、女性も名刺入れから名刺を出した。
「初めまして。私、夏目と申します」
エッ……。
夏目さんという人は、私にまで名刺をくれた。
「あの……」
「部下の、矢島です」
「矢島と申します。あの、申し訳ありません。私、名刺は持っていないものですから……」
座ったままだったがお辞儀をすると、夏目さんは、笑みを浮かべながらゆっくりと頷いてくれた。
施設部電気設備担当? 電気主任技術者?
名刺に書いてある内容を見ても、さっぱり分からない。いったい、どんな仕事をされているんだろう?
それにしても、高橋さんと夏目さんは名刺交換をしているということは、初対面なんだ。でも、何故?
まさか……。これって、合コンのようなお見合い?
ま、まさか……ね。
「折原から、いつもお噂は伺っております」
「私のですか? ハハッ……。また、碌なこと言ってないんじゃないですか?」
「そんなことないわよ。いつも、褒めてますよねえ。先輩?」
「そうね。高橋さんの数字に対する模索は、まるで彼女を捜している彼氏のようだとか……」
数字に対する模索は、まるで彼女を捜している彼氏のよう?
な、何か、凄い表現だな。

