「乗って」
助手席のドアを開けて、エスコートしてくれる。
謝らなければいけない立場なのに、一瞬、そのこと等忘れてしまうほど、この瞬間が好きで、温かくて安心できる感覚に、つい、ホッとしてしまう。
助手席のドアを閉めると、高橋さんが運転席に座った
「今夜、遅くなってもいいか?」
エッ……。
思ってもみなかった言葉に反応して、運転席の高橋さんを見ると、高橋さんはシートベルトを締めて車を発進させた。
『今夜、遅くなってもいいか?』 って、どのぐらい遅くなるんだろう? でも、高橋さんと一緒だし、明日はお休みだし予定もないから問題ないんだけれど……。
それよりも、謝らなきゃ。
「あの……」
信号待ちで高橋さんに話し掛けると、こちらを向いてくれた。
「あの、労災の件なんですが、私……」
謝ろうとした時、高橋さんに言ってしまった酷い言葉が蘇ってきた。
『何で……。何が、大丈夫なんですか? 高橋さんは、そんなに私を人事に帰したいんですか?』 『高橋さんが、何を考えていらっしゃるのか分かりません』
そんな言葉を浴びせても、高橋さんは黙ったままだった。言い返すことなんて、できなかったから。だから、ずっと黙っていて……。
あの日、上から見た時、ハンドルを抱えていた高橋さんは、何を思って、何を考えていたんだろう? そんなことも分からず、何も知らないで言いたいことを高橋さんにぶつけてしまっていた。
「着いた」
エッ……。
「あ、あの、もう着いちゃったんですか?」
「フッ……。もっと、乗っていたかったか?」
「あっ、いえ、そ、その……」
「夜は長い。話は、後でゆっくり聞くから」
「えっ?」
『よ、夜は長い』 って……。 『話は、後でゆっくり聞くから』 とか、どういう意味?
「大丈夫か? 段差があるから、気をつけろ」
「は、はい」
高橋さんの言葉に驚いて考えていたら、助手席のドアを開けてくれていた。
車から降りて、駐車場から高橋さんの後ろを歩いてお店の入り口に着くと、歩いてきた所は置き石が等間隔に置いてあり、玄関も和風の造りになっていた。
「いらっしゃいませ」
着物を着た、女性の店員さんが出迎えてくれた。
「予約してあります、高橋と申します」
「高橋様」
「はい」
助手席のドアを開けて、エスコートしてくれる。
謝らなければいけない立場なのに、一瞬、そのこと等忘れてしまうほど、この瞬間が好きで、温かくて安心できる感覚に、つい、ホッとしてしまう。
助手席のドアを閉めると、高橋さんが運転席に座った
「今夜、遅くなってもいいか?」
エッ……。
思ってもみなかった言葉に反応して、運転席の高橋さんを見ると、高橋さんはシートベルトを締めて車を発進させた。
『今夜、遅くなってもいいか?』 って、どのぐらい遅くなるんだろう? でも、高橋さんと一緒だし、明日はお休みだし予定もないから問題ないんだけれど……。
それよりも、謝らなきゃ。
「あの……」
信号待ちで高橋さんに話し掛けると、こちらを向いてくれた。
「あの、労災の件なんですが、私……」
謝ろうとした時、高橋さんに言ってしまった酷い言葉が蘇ってきた。
『何で……。何が、大丈夫なんですか? 高橋さんは、そんなに私を人事に帰したいんですか?』 『高橋さんが、何を考えていらっしゃるのか分かりません』
そんな言葉を浴びせても、高橋さんは黙ったままだった。言い返すことなんて、できなかったから。だから、ずっと黙っていて……。
あの日、上から見た時、ハンドルを抱えていた高橋さんは、何を思って、何を考えていたんだろう? そんなことも分からず、何も知らないで言いたいことを高橋さんにぶつけてしまっていた。
「着いた」
エッ……。
「あ、あの、もう着いちゃったんですか?」
「フッ……。もっと、乗っていたかったか?」
「あっ、いえ、そ、その……」
「夜は長い。話は、後でゆっくり聞くから」
「えっ?」
『よ、夜は長い』 って……。 『話は、後でゆっくり聞くから』 とか、どういう意味?
「大丈夫か? 段差があるから、気をつけろ」
「は、はい」
高橋さんの言葉に驚いて考えていたら、助手席のドアを開けてくれていた。
車から降りて、駐車場から高橋さんの後ろを歩いてお店の入り口に着くと、歩いてきた所は置き石が等間隔に置いてあり、玄関も和風の造りになっていた。
「いらっしゃいませ」
着物を着た、女性の店員さんが出迎えてくれた。
「予約してあります、高橋と申します」
「高橋様」
「はい」

