「そうですね。それは、従来のレギュラーチケットにも利用したらどうかね?」
専務が独り言のように言うと、それに賛同するように常務が高橋さんに尋ねていた。
「それは、難しいと思います。従来のレギュラーチケットにもそのシステムを導入すると、LCC分と併せてかなりの手数料が我が社に入ってくることになります。そうなると、このセット購入に賛同してくれる鉄道会社や高速バス会社は、だいぶ及び腰になるかもしれませんし、マイカーの駐車料金に至っては、同じように空港財団への我が社の負担も大きくなります。そして、何よりLCCチケットにのみ導入するという特典魅力が半減してしまい、そのシステムそのものが失敗に終わってしまう恐れが出てくると思います」
「それは、そうだな。LCCの、他社との差別化が出来なくなるのは困る」
常務は自分の質問を撤回しながら、何かメモを取っていた。
「ちょっと、聞きたいんだが……」
「はい」
出た。また営業部長だ。
高橋さん。負けないで。
勝ち負けの問題ではないということは分かっているが、何か副社長といい、営業部長といい、人に対する聞き方というか、言い方が嫌いで、どうしても高橋さんには負けて欲しくないという何とも低次元の考えを持ってしまっていた。
「話の大筋は分かったが、会社として、空港財団はまだしも、鉄道や高速バス会社に誰が交渉に行くのかね? まさか、私達営業が頭を下げに行くんじゃなかろうな」
この人は、仕事に誇りを持っていないのだろうか? 営業という仕事に……。
「それは、そうですね……」
高橋さんが、次の言葉を選んでいるように見えた。
「無論、私が行っても構いません。ですが……」
「会社として、私が行く」
社長。
「最初は、私が行って誠意を見せなければ、何も始まらないだろう」
高橋さんの言葉を遮るように、社長が言った。
「ですが、社長。相手は、あのNRですよ?」
あのNR?
どういう意味だろう?
「袖にされるのがおちです。社長が、そんな会社に頭を下げに行かれるんですか」
今度は、副社長が口を挟んできた。
どういうこと?
「だから、私は社長なんだよ」
専務が独り言のように言うと、それに賛同するように常務が高橋さんに尋ねていた。
「それは、難しいと思います。従来のレギュラーチケットにもそのシステムを導入すると、LCC分と併せてかなりの手数料が我が社に入ってくることになります。そうなると、このセット購入に賛同してくれる鉄道会社や高速バス会社は、だいぶ及び腰になるかもしれませんし、マイカーの駐車料金に至っては、同じように空港財団への我が社の負担も大きくなります。そして、何よりLCCチケットにのみ導入するという特典魅力が半減してしまい、そのシステムそのものが失敗に終わってしまう恐れが出てくると思います」
「それは、そうだな。LCCの、他社との差別化が出来なくなるのは困る」
常務は自分の質問を撤回しながら、何かメモを取っていた。
「ちょっと、聞きたいんだが……」
「はい」
出た。また営業部長だ。
高橋さん。負けないで。
勝ち負けの問題ではないということは分かっているが、何か副社長といい、営業部長といい、人に対する聞き方というか、言い方が嫌いで、どうしても高橋さんには負けて欲しくないという何とも低次元の考えを持ってしまっていた。
「話の大筋は分かったが、会社として、空港財団はまだしも、鉄道や高速バス会社に誰が交渉に行くのかね? まさか、私達営業が頭を下げに行くんじゃなかろうな」
この人は、仕事に誇りを持っていないのだろうか? 営業という仕事に……。
「それは、そうですね……」
高橋さんが、次の言葉を選んでいるように見えた。
「無論、私が行っても構いません。ですが……」
「会社として、私が行く」
社長。
「最初は、私が行って誠意を見せなければ、何も始まらないだろう」
高橋さんの言葉を遮るように、社長が言った。
「ですが、社長。相手は、あのNRですよ?」
あのNR?
どういう意味だろう?
「袖にされるのがおちです。社長が、そんな会社に頭を下げに行かれるんですか」
今度は、副社長が口を挟んできた。
どういうこと?
「だから、私は社長なんだよ」

