きっと、今、高橋さんと向き合って話をしながら、今までの自分に別れを告げたかったからなんだ。そして、それは今までの自分に向き合って話をしてくれていた、その温もりを身近に感じられた高橋さんにも……。
先ほどの女性と同じように、高橋さんに背を向けてKカウンターから離れていく。ひとつ違うことは、先ほどの女性は高橋さんの前で泣いていた。けれど私は今、高橋さんに背を向けてから涙が溢れ出していた。
涙を拭うこともせずに歩いているので、擦れ違う人が驚いた顔をして私を見ている。それでも、今は構わなかった。
Kカウンターからだいぶ離れたところに、ズラッと椅子が並んでいて、恐らく飛行機の発着時間の狭間なのか、誰も座っていなかったので通路から一番離れた奥の席に座って両手で顔を覆った。
高橋さんが素敵な女性と会っていて、とてもお似合いに見えた。でも、それが哀しくて泣いているんじゃない。その光景を見て、劣等感でいっぱいになったのも事実。未だに封を切らずに保管しているミサさんの手紙を見つけてしまってから、薄々気づいていた。高橋さんが、私の手に負えるような人ではないということを。それを今日、改めて実感して、気持ちをとうとう封印したのに……。それなのに、封印した途端、こんなにも好きだったんだと分かってしまったから。
社会人なんだから、
「もっと、大人にならなきゃ……」
言い聞かせるように、小声で呟いていた。
「誰がだ?」
エッ……。
驚いて顔を上げると、目の前に高橋さんが立っていた。
どうして、此処に居るの?
「誰が、もっと大人にならなきゃいけない? 何故、泣いてる?」
「な、泣いてないです。何でもないですから、気にしないで下さい。ちょっと、目にゴミが……」
高橋さんが隣に座ると、必死に涙を拭っている私の左手を掴んだ。
「泣きながら歩いているのを、擦れ違う人が何事かと思って振り返っているのを見て、放っておけるわけないだろう?」
高橋さん……。
涙でくぐもった目で見た高橋さんの瞳は、何故か、とても哀しく寂しげだった。
「本当に、何でもないんです。すみません。ご心配お掛けして、わざわざ来て頂いてしまっ……」
「言わないと伝わらないし、分からないだろう?」
高橋さん……。
先ほどの女性と同じように、高橋さんに背を向けてKカウンターから離れていく。ひとつ違うことは、先ほどの女性は高橋さんの前で泣いていた。けれど私は今、高橋さんに背を向けてから涙が溢れ出していた。
涙を拭うこともせずに歩いているので、擦れ違う人が驚いた顔をして私を見ている。それでも、今は構わなかった。
Kカウンターからだいぶ離れたところに、ズラッと椅子が並んでいて、恐らく飛行機の発着時間の狭間なのか、誰も座っていなかったので通路から一番離れた奥の席に座って両手で顔を覆った。
高橋さんが素敵な女性と会っていて、とてもお似合いに見えた。でも、それが哀しくて泣いているんじゃない。その光景を見て、劣等感でいっぱいになったのも事実。未だに封を切らずに保管しているミサさんの手紙を見つけてしまってから、薄々気づいていた。高橋さんが、私の手に負えるような人ではないということを。それを今日、改めて実感して、気持ちをとうとう封印したのに……。それなのに、封印した途端、こんなにも好きだったんだと分かってしまったから。
社会人なんだから、
「もっと、大人にならなきゃ……」
言い聞かせるように、小声で呟いていた。
「誰がだ?」
エッ……。
驚いて顔を上げると、目の前に高橋さんが立っていた。
どうして、此処に居るの?
「誰が、もっと大人にならなきゃいけない? 何故、泣いてる?」
「な、泣いてないです。何でもないですから、気にしないで下さい。ちょっと、目にゴミが……」
高橋さんが隣に座ると、必死に涙を拭っている私の左手を掴んだ。
「泣きながら歩いているのを、擦れ違う人が何事かと思って振り返っているのを見て、放っておけるわけないだろう?」
高橋さん……。
涙でくぐもった目で見た高橋さんの瞳は、何故か、とても哀しく寂しげだった。
「本当に、何でもないんです。すみません。ご心配お掛けして、わざわざ来て頂いてしまっ……」
「言わないと伝わらないし、分からないだろう?」
高橋さん……。

