「いえ、とんでもないです。何も役に立てなくて、私……」
「ん? そんなことないだろう? こうして、アイスバッグを何度も換えてくれてる」
高橋さんの言葉に首を振りながら、下を向いた。
「でも、私……。出張中、高橋さんとずっと一緒に居たのに、具合が悪かったことに気づけませんでした。高橋さん。気づいて差し上げられなくて、ごめんなさい」
「お前……」
あっ。いけない。こんなこと、高橋さんに今言うべきことじゃない。
「すみません。向こうに居ますから、何かあったら呼んで下さいね」
エッ……。
ベッドから立ち上がった私の左腕を高橋さんが掴んだので、驚いて振り返ると高橋さんと目が合った。
そして、私の左腕を引っ張ってまたベッドに座らせた高橋さんは、黙ったままジッとこちらを見ていた。
「あ、あの……」
すると高橋さんの左手が伸びてきて、私の左頬をスッと親指で撫でると、自分でも気づかないうちに涙が頬を伝っていたらしく、高橋さんの親指が濡れているのが分かった。
「もっと、自分に自信を持て」
また泣いてたんだ、私。
「お前は、その優しい心を持っていることに、もっと自信を持っていい」
そう言うと、高橋さんが額のアイスバッグを右手で外して体を少し起こすと、右手を私の後頭部に回した。
「お前は、そのお前らしさをいつまでも失わないで欲しい」
高橋さん。
「俺は、もしかしたら……」
ピンポーン。
「いやあ、遅くなった。陽子ちゃん。居る?」
エッ……。
インターホンが鳴った途端、玄関の鍵の開く音がして、明良さんの声が聞こえた。
思わずリビングの方を見て、もう一度高橋さんを見ると、高橋さんは右手で左右のこめかみを押さえながらアイスバッグを額に戻した。
「陽子ちゃあん?」
「は、はい」
慌てて寝室から出て行くと、明良さんが洗面所で手を洗っていた。
「明良さん。こんにちは」
「おっ。陽子ちゃん。扁桃腺会計士は、どう?」
扁桃腺会計士って……。
「ん? そんなことないだろう? こうして、アイスバッグを何度も換えてくれてる」
高橋さんの言葉に首を振りながら、下を向いた。
「でも、私……。出張中、高橋さんとずっと一緒に居たのに、具合が悪かったことに気づけませんでした。高橋さん。気づいて差し上げられなくて、ごめんなさい」
「お前……」
あっ。いけない。こんなこと、高橋さんに今言うべきことじゃない。
「すみません。向こうに居ますから、何かあったら呼んで下さいね」
エッ……。
ベッドから立ち上がった私の左腕を高橋さんが掴んだので、驚いて振り返ると高橋さんと目が合った。
そして、私の左腕を引っ張ってまたベッドに座らせた高橋さんは、黙ったままジッとこちらを見ていた。
「あ、あの……」
すると高橋さんの左手が伸びてきて、私の左頬をスッと親指で撫でると、自分でも気づかないうちに涙が頬を伝っていたらしく、高橋さんの親指が濡れているのが分かった。
「もっと、自分に自信を持て」
また泣いてたんだ、私。
「お前は、その優しい心を持っていることに、もっと自信を持っていい」
そう言うと、高橋さんが額のアイスバッグを右手で外して体を少し起こすと、右手を私の後頭部に回した。
「お前は、そのお前らしさをいつまでも失わないで欲しい」
高橋さん。
「俺は、もしかしたら……」
ピンポーン。
「いやあ、遅くなった。陽子ちゃん。居る?」
エッ……。
インターホンが鳴った途端、玄関の鍵の開く音がして、明良さんの声が聞こえた。
思わずリビングの方を見て、もう一度高橋さんを見ると、高橋さんは右手で左右のこめかみを押さえながらアイスバッグを額に戻した。
「陽子ちゃあん?」
「は、はい」
慌てて寝室から出て行くと、明良さんが洗面所で手を洗っていた。
「明良さん。こんにちは」
「おっ。陽子ちゃん。扁桃腺会計士は、どう?」
扁桃腺会計士って……。

