「あ、あの……私、電車で帰りますから。大丈夫です」
まだ電車の本数もたくさんあるし、高橋さんの家より私の家の方が此処からだと遠いもの。
「いいから、来いよ」
うわっ。
「あ、あの……」
いきなり思いっきり腕を引っ張られて、タクシーに一緒に乗せられてしまった。
な、何で?
仕方ないな。まだ終電の時間まではたっぷりあるし、高橋さんのマンションまで行ったら一緒に降りて、電車で帰ってこよう。
タクシーの運転手さんに行き先を告げて、高橋さんは眠そうだった目を閉じると、数分も経たないうちに眠ってしまったようだった。
エッ……。