そうだったんだ。
「此処はニューヨークではないが、用心するに超したことはない。だから、これからは部屋に入る時も、極力気をつけるようにした方がいい」
「はい。ありがとうございます」
「それじゃ」
エッ……。
高橋さん。もう帰ってしまうの?
「あ、あの、お茶でも飲んで行かれませんか?」
高橋さんに、もう少し居て欲しかった。正直、まだ1人になるのが少し怖かった。
「ありがとう。せっかくだが、明日も仕事だし、今日は失礼する」
「高橋さん……」
「ん?」
思わず、名前を呼んでしまっていた。
「あっ。い、いえ、何でもないです」
慌てて否定したが、まともに高橋さんの顔が見られなくて、恥ずかしくて下を向いてしまった。
すると、ジャケットの衣擦れる音がして、高橋さんの左手がスッと伸びてきて私の右頬を包んだ。
高橋さんの綺麗な長い指を想像しながら、その手の温もりが心地よくて目を瞑っていた。
「フッ……。これじゃ、何もならないだろう」
ハッ!
慌てて目を開けると、目の前に高橋さんの顔が度アップで迫っていた。
「あ、あの……。すみません、つい……」
「ハハッ……」
高橋さんが、天井を見ながら笑っている。
「ごめんなさい」
「謝ることでもない」
高橋さん……。
「あんなことがあって、怖いのはよく分かる。だが、今、俺が此処にずっと居れば、その怖い記憶が消えるわけでもない。かえって明日以降、お前が1人で帰宅したり、部屋で過ごし辛くなるはずだ」
明日以降のことなんて、考えてなかった。
そうだった。明日は、1人で帰宅しなければならないし、玄関の鍵も1人で開けて……。
そう思ったら、今から既に不安でいっぱいになっていた。
「大丈夫だ。俺が帰っても鍵は直ぐ掛けるわけだし、ドアガードもしておけば誰も入っては来られない。今までも、そうして暮らしてきたんだろう?」
「はい……」
頭では分かっているが、さっきのことがフラッシュバックしてきそうで怖い。
「何かあったら、何時でも構わないから電話しろ」
そう言うと、高橋さんは私の右頬を包んでいた左手を離して頭を撫でてくれた。
高橋さん。
「返事は?」
「は、はい。ありがとうございます」
すると、高橋さんは優しく微笑んでくれながら頷いた。
「おやすみ。いい子に」
「此処はニューヨークではないが、用心するに超したことはない。だから、これからは部屋に入る時も、極力気をつけるようにした方がいい」
「はい。ありがとうございます」
「それじゃ」
エッ……。
高橋さん。もう帰ってしまうの?
「あ、あの、お茶でも飲んで行かれませんか?」
高橋さんに、もう少し居て欲しかった。正直、まだ1人になるのが少し怖かった。
「ありがとう。せっかくだが、明日も仕事だし、今日は失礼する」
「高橋さん……」
「ん?」
思わず、名前を呼んでしまっていた。
「あっ。い、いえ、何でもないです」
慌てて否定したが、まともに高橋さんの顔が見られなくて、恥ずかしくて下を向いてしまった。
すると、ジャケットの衣擦れる音がして、高橋さんの左手がスッと伸びてきて私の右頬を包んだ。
高橋さんの綺麗な長い指を想像しながら、その手の温もりが心地よくて目を瞑っていた。
「フッ……。これじゃ、何もならないだろう」
ハッ!
慌てて目を開けると、目の前に高橋さんの顔が度アップで迫っていた。
「あ、あの……。すみません、つい……」
「ハハッ……」
高橋さんが、天井を見ながら笑っている。
「ごめんなさい」
「謝ることでもない」
高橋さん……。
「あんなことがあって、怖いのはよく分かる。だが、今、俺が此処にずっと居れば、その怖い記憶が消えるわけでもない。かえって明日以降、お前が1人で帰宅したり、部屋で過ごし辛くなるはずだ」
明日以降のことなんて、考えてなかった。
そうだった。明日は、1人で帰宅しなければならないし、玄関の鍵も1人で開けて……。
そう思ったら、今から既に不安でいっぱいになっていた。
「大丈夫だ。俺が帰っても鍵は直ぐ掛けるわけだし、ドアガードもしておけば誰も入っては来られない。今までも、そうして暮らしてきたんだろう?」
「はい……」
頭では分かっているが、さっきのことがフラッシュバックしてきそうで怖い。
「何かあったら、何時でも構わないから電話しろ」
そう言うと、高橋さんは私の右頬を包んでいた左手を離して頭を撫でてくれた。
高橋さん。
「返事は?」
「は、はい。ありがとうございます」
すると、高橋さんは優しく微笑んでくれながら頷いた。
「おやすみ。いい子に」

