少し動いたりしたら唇が触れてしまいそうで、今置かれた状況に戸惑いながらも全身の力が抜けていくのが自分でも分かる。
とてもじゃないけれど、きっと立ってはいられなかっただろう。座っていて良かったとつくづく思ったが、それでも力が抜けてしまって、そのまま後ろに腰砕けのように座っていた塀の上に倒れてしまいそうになっている。
そんな私の背中を高橋さんは支えてくれていたが、少しずつ視界に高橋さんのバックに見える星空が占める割合が増えてきて、高橋さんが塀の上に私をそっと寝かせた。
「た、高橋さん?」
「黙って、目を瞑れ」
「えっ?」
「いいから」
言われるまま、恐る恐る目を瞑る。
「いいぞ、ゆっくり目を開けて」
高橋さんに言われて、ゆっくり目を開けると……。
「嘘……」
あまりの綺麗さに、発した言葉は声にならなかった。
真上に広がる、満天の星空。
先ほどまで見ていたものと、まったく違う気がするのは何故だろう?
「周りの景色も俺も見えないから、さながら自分だけの世界のもののように感じるだろう?」
高橋さんが視界から消えてしまったけれど、直ぐ近くに居るのは気配で分かった。
「はい……」
「何億光年離れていても、その輝きを万人に見せてくれている。そう考えると自分の悩み等、ちっぽけに感じないか?」
高橋さん……。
「星空に輝き返すことはできないが、この輝きをいつまでも見られるよう、とかく忘れがちな己の気持ちに余裕を持って行動することが、自分を輝かせる一歩だから。自分を卑下することはない。お前に、その輝きをいつも見せられるような環境を作るのが、俺の役目だ。立ち止まったら、引っ張ってやる。降りる勇気がなければ、俺が降ろしてやる」
「高橋……さん」
また泣いてしまいそうで慌てて起き上がると、高橋さんが黙って私を塀の上から降ろしてくれた。
「ああ、背中を押すのは、中原の役目な? 分かったら、返事」
高橋さんを見上げた途端、涙がやはり溢れてしまった。
「また、お前は……」
高橋さんが、スッと涙を拭ってくれると、私の頬に掛かる髪にそっと触れ、頬を撫でながら掻き分けてくれた。
見上げた高橋さんのバックには満天の星空が広がっていて、それは高橋さんが星をバックに従えているような錯覚に陥る。
満天の星空の下、その場所だけが温かくて夢見心地のまま、高橋さんの香りと温もりにいつまでも、いつまでも包まれて……。
エッ……。
涙を拭ってくれていた高橋さんが、少しだけ屈んで顔を近づけた。
高橋さん?
うっ。
駄目、我慢できない。
「クシュン……ごめんなさい」
とてもじゃないけれど、きっと立ってはいられなかっただろう。座っていて良かったとつくづく思ったが、それでも力が抜けてしまって、そのまま後ろに腰砕けのように座っていた塀の上に倒れてしまいそうになっている。
そんな私の背中を高橋さんは支えてくれていたが、少しずつ視界に高橋さんのバックに見える星空が占める割合が増えてきて、高橋さんが塀の上に私をそっと寝かせた。
「た、高橋さん?」
「黙って、目を瞑れ」
「えっ?」
「いいから」
言われるまま、恐る恐る目を瞑る。
「いいぞ、ゆっくり目を開けて」
高橋さんに言われて、ゆっくり目を開けると……。
「嘘……」
あまりの綺麗さに、発した言葉は声にならなかった。
真上に広がる、満天の星空。
先ほどまで見ていたものと、まったく違う気がするのは何故だろう?
「周りの景色も俺も見えないから、さながら自分だけの世界のもののように感じるだろう?」
高橋さんが視界から消えてしまったけれど、直ぐ近くに居るのは気配で分かった。
「はい……」
「何億光年離れていても、その輝きを万人に見せてくれている。そう考えると自分の悩み等、ちっぽけに感じないか?」
高橋さん……。
「星空に輝き返すことはできないが、この輝きをいつまでも見られるよう、とかく忘れがちな己の気持ちに余裕を持って行動することが、自分を輝かせる一歩だから。自分を卑下することはない。お前に、その輝きをいつも見せられるような環境を作るのが、俺の役目だ。立ち止まったら、引っ張ってやる。降りる勇気がなければ、俺が降ろしてやる」
「高橋……さん」
また泣いてしまいそうで慌てて起き上がると、高橋さんが黙って私を塀の上から降ろしてくれた。
「ああ、背中を押すのは、中原の役目な? 分かったら、返事」
高橋さんを見上げた途端、涙がやはり溢れてしまった。
「また、お前は……」
高橋さんが、スッと涙を拭ってくれると、私の頬に掛かる髪にそっと触れ、頬を撫でながら掻き分けてくれた。
見上げた高橋さんのバックには満天の星空が広がっていて、それは高橋さんが星をバックに従えているような錯覚に陥る。
満天の星空の下、その場所だけが温かくて夢見心地のまま、高橋さんの香りと温もりにいつまでも、いつまでも包まれて……。
エッ……。
涙を拭ってくれていた高橋さんが、少しだけ屈んで顔を近づけた。
高橋さん?
うっ。
駄目、我慢できない。
「クシュン……ごめんなさい」

