出て行けと言う訳にもいかないし…と悩んでいたところ、グ〜とルカくんのお腹が鳴った。



「……ごめん」



人前でお腹が鳴ったことが余程恥ずかしかったのかそう言った。


こんなことを言うのはどうかと思ったが可愛いかった。



「なにか作るよ、なにがいい？」



カプッ！



「え、」



驚くことに指を噛まれた。


ジューと音と共に血が抜けていく感覚がする。


あまりの怖さに手を引っ込めることができない。



「ル、ルカくん…や、やめて」



決死の力を振り絞ってこの言葉を発した。



「……ごめん」



やっと離してくれた…。私は安堵感に浸った。


どうすればいいか分からず、硬直していたらルカくんの方から口を開いた。



「俺、ヴァンパイアなんだ」



冗談かと思ったが、私の指が全てを物語っていた。


私は血を吸われた指をまじまじと見た。とても小さな穴が2つ空いている。


そして、これを裏付けるかのようにルカくんの口には立派な犬歯が顔を覗かせていた。


逃げなきゃ、突発的に感じた。でも体が動かなかった。



「お願い、怖がらないで」



「ムリだよ…」



「じゃあ、約束する。もう無断で血、吸ったりしない」