野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました

「ん〜…ボソボソ」



何かは言ってるのだろうけど私には聞き取れなかった。心臓がドクドクしていて聞き返す余裕などなかった。


顔を赤くする理由も、心臓が鳴る理由も、全て分かっていた。認めちゃえば楽になれるのに、私はまだ認めたくなかった。


ルカくんは本気だって言ってくれてるけど、私には自信がなかった。まぁ、恵美から庇ってくれた時点で本気度は伝わってるんだけど…。


私なんかがルカくんの隣に居ていいのかなとか、私とじゃ吊り合わないだろうなとか、沢山のことを考えちゃって未だルカくんに応えられないでいる。


茉莉花には「付き合っちゃえよ〜」と言われた。でもそんなに簡単ではないのだ。吸血契約は一生ものの契約だから。


誰にも言えないこの秘密。



「俺と居んのに考え事?悪い子だなぁ。そういう子には…」



ギュッ



急に体が包まれた。ルカくんの胸板が私の目の前にある。一瞬思考回路が止まったけど、すぐに復活した。私今抱きしめられてるんだ。



「あったかいね」



思わず口にしていた。ルカくんを見上げると、目を丸くしていた。けれど、すぐに笑顔になって「そうだな」と言った。


いちいち心臓がうるさい。これじゃあルカくんに聞こえちゃう。



「心羽の心臓めっちゃトクトクいってる」