「少し近道してっちゃお」



部活動が終わり、疲れきっていた私は早く帰りたい一心でいつもは通らない道、俗に言う近道を選んだ。


呑気に少し歩った頃、人影のようなものが見えてきてじっと目を凝らした。やっぱり人影だ。しかもうずくまってる。


どうしたんだろうな〜と思っていた矢先、私はギョッとした。


所々破れた服、擦り切れたズボン、まさに「ボロボロ」という言葉が一番似合うであろう人だったからだ。


私は立ち止まった。それに気が付いたのかボロボロな彼も顔を上げた。



「ッ‼︎」



思わず息を呑んだ。


白銀色の髪、漆黒の目。


いわずもなが、綺麗だった。この人のことを容姿端麗というのだなと思った。


初めて目に吸い込まれそうになった。



「なに?」



ジロジロと見られて嫌気が差したのか、彼が口を開いた。


何か言わなきゃ。



「だ、大丈夫?」



正直言うと怖かった。知らない人だったしここまでボロボロになるまでなにをしていたか分からなかったから。



「大丈夫そうに見える?」



「……見えない」



私がそう言ってから彼はそっぽを向いてしまった。


私にはどうすることもできなかった。


でも、せめて力になりたい。だからこんな虚言を生んでしまった。



「家、来る?」