いくら本能だったと言われても、困るものは困る。そう思ってしかめっ面をしていたらルカくんが突拍子もないことを言い出した。



「じゃあ、心羽が俺のこと好きになればいいじゃん。いや、ぜって〜好きにさせる」



「えっ!」


突然の宣言に戸惑いが隠せない。まさかこんなことを言うとは思ってなかった。


負けず嫌いな私の口は「やれるものならやってみてよ」と勝手に動いていた。



「うん、覚悟しておいて。ただ、一週間に一回は血を吸わせて」



どうやら私は今まで眠っていた虎の尾を踏んでしまったらしい。


これからルカくんの恐怖に怯えなければと思うとハラハラした。


一方で、あの漆黒な瞳に見つめられると思うと少しドギマギした。



「じゃあ、俺、帰るわ」



「ちょっと待って、なんであんなところにいたの?」



流石にこれだけは聞いておかなければ、と思った。



「あ〜。親に、吸血契約するまで帰ってくるなって言われたから。でも、もう帰れる」



一週間もウロウロしていたらああなるか…。理由が聞けてむず痒さが取れた私は、ルカくんと一緒に玄関まで行った。



「じゃあね」



「あぁ、また明日」



ん?また明日?一週間後じゃなくて?


不思議に思った私は理由を聞こうとしたが、それと同時にガチャンッと扉が閉まってしまった。