ヘマをしたのに一丁前なこと言ってられないと、私は曖昧な返事をする。
それで何か勘づいたのか、彰人は血相をかえて低い声で尋ねてくる。
「っまさかお前、どこかやられたのか……?」
「えっと……うん、右の横腹を……」
「っ……やったのどいつだ」
「彰人の目の前に転がってる人だけど……」
どうしてそんなことを聞いてくるんだろう?
私が疑問に思う一方、蒼凰さんは彰人が何を考えているか分かっているようで、彰人を止めに入る。
「彰人、まだどこの奴か吐かせてない」
「ハッ、一人くらいいてもいなくても変わんねぇよ」
そこでようやく私にも彰人の思惑が理解出来て。
まさか彰人、その人にやり返すつもりじゃ……?
「ダメだよ彰人っ、それじゃ彰人の手が汚れちゃうっ」
そう言うと彰人は声を荒げて。
「そんなもんとっくのとうに汚れてんだよ!お前はこいつにやられて腹立たねぇのかよ!?」



