最強総長の愛するボディガード



「俺のために心羽ちゃんが傷つくのは、嫌だ……っ」
「蒼凰さん……」



蒼凰さんが嘘を言っているようには見えない。
けれど、心さんから女遊びのことを聞いてしまった以上、他の人たちにもそういうことを言っているのではないかと、疑わずにはいられないのだ。
どう言葉を返せばいいか分からないでいると、また階段を駆け上がってくる足音が聞こえてくる。



「蒼凰さんっ、まだ敵が……っ」
「いや、あれは多分……」
「心羽っ!!」
「あれ……彰人!?」



そう、駆け上がってきたのは敵ではなく彰人だった。
彰人も蒼凰さんと同じように焦った顔をしていて、そっくりな二人に思わず笑みがこぼれる。



「っ……何、笑ってんだよ……心配かけんな……っ」
「うん……ごめんね彰人」
「……てかなんで蒼凰はここにいるんだよ」
「彰人も戦ったから分かるでしょ?不利になった敵が逃げようとした先がこのビルだったから、もしかしてと思って」
「っ……心羽は俺を頼ってくれたのに……クソっ」



彰人が俯いて何かを呟く。



「彰人?」
「……いや、じゃあ心羽はこの転がってる敵を全員倒したのか?」
「ええと、まぁ、一応は……」