公平な決め方であるジャンケンに頭の中で文句を言いながら、一人一つカートを持って三人がかりで食材を入れていく。



ところで……
スーパーマーケットに入ってから、蒼凰さんと一メートル以上離れたら感じるこの殺気を帯びた視線を、どう始末するべきか。
この視線は明らかに外からのものだ。
おそらくは、スーパーマーケットの向かいに位置する古びた中層ビルから。
もし狙撃をされたら周りの人も巻き込んでしまうかもしれない。
だからなるべくこちらから出向いた方が犠牲は少ないんだろうけど、護衛対象を連れていくのはリスクが高すぎる。



だからと言って私だけで行けば、蒼凰さんを一人に……
って、そうだ、今は彰人もいるんだ。
甘えてしまうことになるけど、最優先事項は刺客の処理。
だから彰人を信じて、私は一人であの中層ビルへ行く!



そう決めてから、私の行動は早かった。



「蒼凰さん、お手洗に行ってきます」
「ああうん、行ってらっしゃい。気をつけてね」
「はいっ」



気をつけて……?
それはこっちのセリフですよ、蒼凰さんっ!