最強総長の愛するボディガード

すると、その間に通りかかる西階段から声が聞こえてきたのだ。
正確に言うと、西階段により繋がっている二階から。



「それなんだけどさぁ、まっっっじでチョロい」
「あははっ、言うねぇ」
「川名ってもしかしてウブ?愛梨の演技がうますぎたかぁ」



甲高く、女子のものだと容易に分かる声。



「私ビックリしたよ、めちゃくちゃ簡単に騙されてくれたからさ」
「これでこのまま付き合ったら、もう好き放題じゃん?川名の家って金持ちなんでしょ?」
「マジらしい。だから涙まで流した価値あったね〜」
「愛梨、ウチらに感謝してよね。いじめ役がいないと無理な玉の輿なんだから」
「はいはいど〜も〜」



そして、悪魔のようなキャハハという笑い声が階段に響く。



愛梨って言ってたよな……
人違い?
いやあれは愛梨の声だった。
愛梨はもう家に帰ったはずなのに、どうしてここにいるんだよ……?
いやそれよりも、アイツらさっき、なんて言った?



チョロい、演技、金持ち、いじめ役、玉の輿。
遠藤愛梨という人間に似ても似つかないその言葉たちに、俺は吐き気を覚える。
いや、似ても似つかないんじゃない。
俺が知っている愛梨は“偽物”だからだ。