心羽side



「これで何度目のミスだ!?涼宮の娘ともあろう者が、これほど無能だとは!」
「っ……申し訳ありません……」
「謝って済むことではない!涼宮の名や命がかかっていることなんだぞ!?」



怒鳴る父と、謝罪する私。
そして、いつも決まってその間に入ってくる一人の人物。



「まぁまぁお父様、出来損ないにいくら怒ったって無駄ですからそのくらいに」
「っ……どうして姉のお前が妹の瑠奈よりも劣っているんだ、恥を知れ!」



どうして……どうして私が怒られないといけないの?
ミスをしているのは、私じゃなくて瑠奈なのに……



私・涼宮心羽(すずみやみう)は、武術に長けており一家の多くが警察官やスパイとして活躍している、涼宮家の娘。
そして、妹の瑠奈(るな)と私は顔は似ていないけど双子で、私たち二人とも幼い頃から武術の鍛錬をしてきた。
そんな私たちは、中学生になった時からボディガードの任務に参加している。
中学生でなんて早すぎる、と高校一年生の五月になった今でも思うけど、涼宮家当主のお父様曰く、涼宮の人間ならこのくらい当然らしい。
当主の言うことは絶対の涼宮で、私たちが逆らえないのは当たり前。
だから私たちは、これまでの三年間であらゆる人のボディガードをしてきた。