「信じられない」を、「真実の愛」に変えてくれたキミへ


遠い、遠い記憶だ。
わたしは、あの時のことをはっきりと今でも覚えている。


わたしが、4歳くらいだっただろうか。
お父さんがお母さんをいつも怒鳴りつけていて、お母さんはすすり泣いていて。

それが日常茶飯事だったから、ひとつひとつ覚えているわけじゃないんだけど、あの時のことはなぜか記憶に残っているのだ。



『ももは、だいじょうぶだよ。おねえちゃんたちがついてるから』



『みみ、ふさいでいいよ』



恵理奈と沙也加は、わたしの両脇にいてくれて、そう言ってくれていた。


しかし、わたしが4歳だったなると、そう言っている恵理奈と沙也加もまだ6歳と5歳だった。


恵理奈もがたがたと震えていて、沙也加の目は涙で真っ赤になっていた。


わたし達がこんな状況になったとしても、お父さんはお母さんを怒鳴り続け、収まることはなかった。