「百々葉、何かしたいことある?」
翠の優しさが、ツキンと心に強く刺さった。
「今、百々葉はあたしに甘えないといけない時だよ」
甘えないといけない時、か。
「翠は、それでいいの?」
「それがいいの。あたしは、百々葉に甘えられたくて仕方ないの」
わたしは、少し考えてから言った。
「近くのファンシーショップ、寄ってもいい?」
「うん、行こう!」
翠は大きく頷いて、わたしの手をひき、ファンシーショップへと入った。
入ったファンシーショップは、翠とわたしにとって小学生の頃からのお気に入りのお店。
可愛いキャラクターのぬいぐるみ、文房具、リュックまである。
キャラクターといえば、もちろんパステルドリームのグッズだって並んであるのだ。
パステルドリームのキャラクターが並んでいる場所にいるときは、なんだかつらい現実から逃げられたような気分になる。
パステルカラーの中で、ふわふわした気持ちになって。
雲にゆらゆら揺られているような感覚。
「翠、よく小学生の頃、パステルドリームの消しゴムプレゼントしてくれたよね」
「あはは、だってその時の百々葉ったらすごく嬉しそうだったんだもん!」
わたしも、自然に笑えているのがわかった。
翠も、あんなに心配してくれたのにわたしの笑顔と同じように、今は笑ってる。



