女の子と男の子のすれ違いが続き、最終的には2人とも付き合うことができて幸せな日々を送ることができるという、素敵な映画だったのに。
なぜか、わたしの心は映画とは全然合わなかった。
映画の最後には、2人が歩いている空は、ピカピカに晴れて大きな七色の虹までかかっていたのに。
わたしの心は、激しく冷たい、横殴りの雨が降っているようだった。
悔しい気持ちが募れば募るほど、どんどん雨が強くなる。
自分は、京ちゃんに裏切られてこんなに不幸なのに、なんで……!?
そりゃあ、映画なんだから、フィクションなんだから。
ストーリーが、現実よりも上手くいくのは当たり前。
だけど、どうしてこうなっちゃうの?
どうしてこんなに苦しいの?
「お母さんが紹介してくれたお店があるし、あっちでご飯食べに行こー!」
「おう!」
そんな会話を交わしながら、わたし達の前を1組のカップルが横切る。
とうとう、降っていた雨は心の中だけでは済まず、涙になってわたしの両目からこぼれ落ちた。
「小鳥さん!?」
「百々葉!?」
颯人くんとひーくんが、ぎょっとしてわたしの涙を見つめる。
「ごめ、なさいっ! あの、わたし……!」
「ごめん、わたし達、これで失礼するね!」
すぐに状況を察した翠は、わたしの肩を支えて急いで映画館を後にした。



