「ねぇ翠。颯人くんがいるなら、別にわたし抜きでもいいのに……」
その日の下校中、わたしは日曜日の予定について翠にそう話す。
「いやいやいや、それはダメ!」
意外にも腕でバッテンを作りながら、翠は拒否する。
「え……?」
「もし颯人くんを近くで感じて、それが原因であたしが気絶なんてことになるのは嫌だから……!」
「そんな大げさな……!」
翠の考えていることに、頭がついてこなくて、思わずその場から2歩くらい後ずさってしまう。
よっぽど、颯人くんを好きっていう気持ちがあるのは理解できたんだけど、それでわたしもついていかなくちゃいけないの……?
「それに百々葉だって、なんだかんだ増田くんといい調子じゃない」
「それは……」
「とりあえず、何がなんでも百々葉は来て」
「わ、わかった……」
翠の圧には勝てず、わたしは頷いてしまった。
本当に、4人で映画に行く形でいいのかな……?



