「あれ、小鳥さんと一条さんじゃん」
「あっ……!」
「本田くん……!」
本田 颯人くんは、隣のクラス。
そして、翠の片思いの相手でもある。
このことに関しては、知っているのはわたしと翠だけ。
「ん? 一条さん、なんか顔赤くない? 暑かったりしない? 大丈夫?」
「だ、大丈夫っ!」
本田くんは、ほんわか美少年といった感じで中性的で大きな目をしていて、優しい人。
だから、翠が好きになるのもなんだか納得できる。
こういう時、いつも顔をポッと音を立てて赤く染めちゃう翠は、恋する乙女という感じがして、キレイな子から可愛い子になるのだ。
「そっか、ならよかったよ」
本田くんが翠に向かって、ニコッと笑う。
わたしが翠を見てみると、やっぱり恥ずかしいみたいで胸のあたりに両手を抑えていた。
ふふっ、本当に好きなんだな。



