「どうしたの?」
思わず、翠のことをポーッと見てしまった。
って、よくやっちゃうことなんだけどね。
「ん? 翠って本当に美人さんだなーって」
翠は、女優みたいだって見るたびに思う。
長い黒髪、前髪はいつも上げていてニキビのない額があらわになっていて。
ちょっとつり眉の眉毛もキレイに整えられているし、鼻はスッとしているし。
100人中100人が「美人!」と認めるくらいだと思う。
「何言ってるんだか、それを言ったら百々葉は本当に可愛いよ」
翠はそう言って、わたしの髪の毛をそっと撫でたり、ほっぺをぷにっとつまんだりする。
「そうかなー」
「うん。だって百々葉、いつだってこういうほっぺは白くてスベスベだし、茶色いストレートのロングヘアも、モデルみたいだよ」
翠は心も美人。
自分の綺麗なところを鼻にかけたりしないし、人と比べようともしないし、なによりこういうところ。
わたしみたいな人間のことを、いつだってこういう優しい口調で褒めてくれる。



