「どう?」
「え?」
いつの間にか、翠も一緒に廊下に出ていたみたいだった。
しかも、いきなりそんなことを聞いてきたので、意味がよく分からずわたしは首を傾げた。
「いや、あいつと話してたから。なんで連れて行ってくれたのかでも、聞けたのかと思って」
そういうことだったんだ。
確かに知りたい気持ちはあったけど、それ以前にわたしは昨日の反応を謝りたい気持ちの方がずっと強かった。
「あ……ダメだった」
「そっか。まぁ百々葉が聞かなきゃいけないことでもないし、今のところあいつが怪しい感じはないから、別に大丈夫かもね」
怪しい人ではない、と思う。
なんて、まだひーくんのこと知らなすぎるのにこんな風に思って大丈夫なのかなと思う自分もいる。
やっぱり、二つの気持ちは揺らぎ続けている。
「何か不安になったら、いつでもあたしを呼んでね」
「ありがとう翠」
翠は、いつも頼もしいことを言ってくれる。
大きな波に揺られていた二つの気持ちは、翠の言葉で波が小さくなったようだ。