「よし、じゃあ行こっか」
下駄箱で靴に履き替えて、わたしと翠は学校を出て歩き出した。
ひーくんには悪いことをしたなぁ……。
だとしても、あんな風にぐいぐいと聞かれてもやっぱり本当のことを堂々と言うだなんて初対面の男の人のは無理だよ。
「百々葉? どうかした?」
「翠……」
「やっぱり、あのことだよね……?」
翠にならいいよね。
翠は女子だし、親友だし……。
わたしが、家族以外では1番信じているから。
わたしは、京ちゃんに振られて以来、とうとう男の人を信じられなくなったことを話した。
「無理して信じなくていいと思うよ……? 信じたくても、それは急がなくていいし。それに、あんな裏切り者ともう関わる必要もないから……」
一生懸命、言葉を紡ぐ翠を見てなんだか胸がキュッとなってしまった。
「う、うん! ありがと! き、気分転換しよーよ!」
わたしは少しでも気分を明るくさせようと、手をヒラヒラさせながらそう笑った。
「ほんとに大丈夫?」
「うん! 逆に翠がいてくれた方が、頼もしいや」
「じゃあ……今日、あたしの家来る?」
まだ心配してくれているのか翠は、おずおずと尋ねてくる。
「うん!」
恵理奈に連絡をして、わたしはそのまま翠の家へと行った。



