「え?」
わたしは、ひーくんにお礼を言おうと思ったけれどいつの間にかもう彼はその場から姿を消していた。
何も状況を知らない翠は、目をぱちくりさせている。
「どしたの百々葉」
「ここにさっきまで、違うクラスの人と話してたんだけど……」
「もしかして、背が高い男子?」
翠も、一応見てはいたんだね。
まあ、そりゃあそうか。
「あの人なら、もう行ったよ」
「そっか……」
まあ、そうだよね。
いつまでもここにいるわけじゃないし、ましてや遅刻してきたんだから、はやく教室に入らないといけなかったし仕方ない。
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