キーンコーンカーンコーン。
授業終了を告げるチャイムが、鳴り響いた。
「あっ! 授業が終わっちゃった!」
「さぼるつもりじゃなかったのかよ?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
「百々葉ー!」
口ごもった途端に、わたしの名前を呼んだのは、こっちへ走ってくる翠だった。
真っ黒のストレートロングが、シャラシャラと音を立てて揺れている。
「翠!」
「百々葉、こんなとこにいたんだ。保健室に行ったけど、いなかったからどこ行っちゃったのかと思った」
「ごめんね、翠」
「ううん、あたしこそ。百々葉、あれでしょ? あたしがあんな写真なんか見せたから……」
「翠のせいじゃないのっ……!」
わたしはそう言った途端、ぶわっと涙が溢れた。
「百々葉……」
翠は、わたしの肩をトントンと軽く叩いてくれた。
「あ、ひーくん……。あれ? いないや」



