「信じられない」を、「真実の愛」に変えてくれたキミへ


今から下の名前で呼べと?


『俺が百々葉って呼んでんだし』って、別にわたしは下の名前で呼んでほしいなんて頼んでない。


むしろ、何年も京ちゃん以外に男子から下の名前で呼ばれることなんてなかったから、どこかむずむずしてしまう。



「ひ……久くんって呼べってこと?」



「そうそう。なんなら、くん付けじゃなくて呼び捨てでもいいよ?」



下の名前で呼ばせようとしたら、今度は呼び捨てで呼ばせてこようとしてくる。
……距離を近づけようとしすぎじゃないかな?



「呼び捨ては嫌?」



「あんまり男子のこと呼び捨てでは呼ばないんで」



「あだ名は?」



「あだ名?」



「あだ名で人のこと呼ぶのは、慣れてる?」



何、まさかあだ名で呼ばせようとするの?
あだ名によって、呼び捨てよりずっと呼びにくいと思うんだけど。



「俺、ガキの頃ひーくんって呼ばせれたからさ」



「久、か、ひーくんかで言ったらどっちがいい?」



「……ひーくん」



わたしが答えると、彼は指をパチっと鳴らした。



「りょうかーい! じゃ、これから俺を呼ぶときは必ず、『ひーくん』な!」



勝手に決められたし……。
まぁいいか。同じクラスじゃないから、毎日顔を合わせることだってないしね。