ある男がいた。

どこにでもいるサラリーマンだった。

年齢は30代。

先日、10年近く勤めている会社で、やっと昇進した。

しかし、貰えた役職は係長。

彼の同期の中には、更に上の役職に就いている者もいた。

男は劣等感に押し潰されそうだった。

毎日、同じ満員電車に乗る。

毎日、同じような作業をする。

10年近く同じ会社に勤めても、給料は上がらず、昇進もしない。

そのことに対して、不安や不満を抱く。

どこにでもいるサラリーマンだった。