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「すまない。君をここに連れてくるべきではなかった」
リオネルはそう言ってイネスを優しく抱き締めた。
既にイザベルや王太子の姿はなく、リオネルの誘導で人気の少ないガーデンテラスに二人で腰を下ろしている。
「いいえ、リオネル様。貴方に謝って頂く必要はございませんわ。元々姉はああいう性格ですし、今回私を呼んだのは王太子殿下ですから」
「――――本当は、それだけが理由じゃないんだ」
「え……?」
リオネルはバツが悪そうに俯き、やがてイネスに向き直る。
「ここに連れて来たら、少しは君も俺のことを思い出してくれるんじゃないかと……そんな期待をしていたんだ。本当にすまなかった」
「思い出して……って、私達は結婚式が初対面では?」
幼い日の城での記憶を振り返りつつ、イネスは大きく首を傾げた。
「すまない。君をここに連れてくるべきではなかった」
リオネルはそう言ってイネスを優しく抱き締めた。
既にイザベルや王太子の姿はなく、リオネルの誘導で人気の少ないガーデンテラスに二人で腰を下ろしている。
「いいえ、リオネル様。貴方に謝って頂く必要はございませんわ。元々姉はああいう性格ですし、今回私を呼んだのは王太子殿下ですから」
「――――本当は、それだけが理由じゃないんだ」
「え……?」
リオネルはバツが悪そうに俯き、やがてイネスに向き直る。
「ここに連れて来たら、少しは君も俺のことを思い出してくれるんじゃないかと……そんな期待をしていたんだ。本当にすまなかった」
「思い出して……って、私達は結婚式が初対面では?」
幼い日の城での記憶を振り返りつつ、イネスは大きく首を傾げた。



