「ところで、どうしてイネスを王宮へ連れてきたの?」
「どうして? それは当然、殿下がイネスに会いたいと仰っているからです」
当然の部分を強調し、リオネルは眉間にシワを寄せる。
「イネスに? そんな、わざわざこの子に会うなんて時間の無駄遣いだわ。
殿下にはリオネル様が一人で会ってきてくださいな。その間イネスは、このわたくしが相手をしてあげるから」
「え……?」
イザベルの言葉に、イネスは大きく目を見開く。まるで真綿で首を絞められているかのように、息が上手くできなくなった。
「だって、この子ったらわたくしと離れている間に、色々と大事なことを忘れているみたいなんだもの。王太子妃であるわたくしの妹として生きるのがどういうことか、もう一度思い出してもらわなければね。
リオネル様との結婚だって、わたくしの体面を保つために組まれたものだもの。変に思い上がったりせず、地に足をつけて生きなさいって。
この子はここまで言わなければ、そんなことも分からないのだから――――」
「分かっていないのは君のほうだろう」
「どうして? それは当然、殿下がイネスに会いたいと仰っているからです」
当然の部分を強調し、リオネルは眉間にシワを寄せる。
「イネスに? そんな、わざわざこの子に会うなんて時間の無駄遣いだわ。
殿下にはリオネル様が一人で会ってきてくださいな。その間イネスは、このわたくしが相手をしてあげるから」
「え……?」
イザベルの言葉に、イネスは大きく目を見開く。まるで真綿で首を絞められているかのように、息が上手くできなくなった。
「だって、この子ったらわたくしと離れている間に、色々と大事なことを忘れているみたいなんだもの。王太子妃であるわたくしの妹として生きるのがどういうことか、もう一度思い出してもらわなければね。
リオネル様との結婚だって、わたくしの体面を保つために組まれたものだもの。変に思い上がったりせず、地に足をつけて生きなさいって。
この子はここまで言わなければ、そんなことも分からないのだから――――」
「分かっていないのは君のほうだろう」



