【コミカライズ】そんなことも分からないの?

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 リオネルとの結婚生活は刺激的かつ魅力的なものだった。

 彼が優しくしてくれるのは結婚から数日のことだろう――――イネスはそう高を括っていたのだが、リオネルは常に親切かつ誠実で、それから情熱的だった。


「イネス、俺は君を愛している」


 毎朝、毎晩、しつこいほどに、彼はイネスに愛を囁く。肯定的な言葉に耐性のないイネスはその度に顔を赤らめ、返事に困窮してしまった。


(リオネル様はきっと真面目な人なのだわ)


 普通、出会ったばかりの人をそこまで愛せるはずがない。夫婦だから、公爵に頼まれたからと言い聞かせ、愛していると言葉にすることで自分を騙そうとしているのだろう。