私と想さんの愛しているという気持ちはお互いに溢れていたけれど。

 今世ではまだふたりは出会ったばかりで、全体的にみると離れていた時間が長かったせいか、お互いに遠慮しあったり、ちょっとふたりの間に心の距離も感じていた。

 会いたかったし、心の距離も縮めたかったから会える時間はできるだけ沢山会って、沢山一緒にいるとふたりの心の距離が仲良かった頃に戻ってきた。いや、あの時よりも今は深くて近い距離。


 天宮家によく行くようになった。

 今日は休日で朝から天宮家に来ていた。
 当然その家には天宮くんもいて……。

「兄貴と上手くいってる? 清香ちゃん、大丈夫?」

 想さんがキッチンに行き、ひとりでリビングのソファに座っていると天宮くんが来て、私の身体にくっつく距離で座ってきた。

 学祭の後、天宮くんに「清香ちゃんのこと、やっぱりまだ諦められないや」と直接言われて、あれからもぐいぐいアピールされている。

「うん。上手くいっているよ! 心配ありがとう」と言って私はさりげなく天宮くんから離れた。

 キッチンから戻ってきてその光景を見ていた想さん。クッキーを乗せたお皿をソファ前にあるテーブルにささっと置き、無表情で無理やり私たちの間に座ってきた。

 ヤキモチ妬いてくれているのかな?

 天宮くんは立ち上がり目の前のクッキーを手に取ると「清香ちゃん、あーんして」と言いながら私の前に来て、口の中に入れようとした。
 
「清香ちゃん、待って!」と想さんが言い、彼もクッキーを手に取る。そして私の口の中にクッキーを入れてきた。

「兄貴、俺が先に清香ちゃんに食べさせようとしたのに……」

「いや、僕が先に……」

 私はふたりを見てふふっと笑った。
 この幸せが、永遠に続けばいいのに。

 今度は、続いてくれるのかな――。