もしも今、血を吸えば、彼女はずっと僕の隣で生きていくことになる。

 ずっと一緒にいられたらこの孤独な気持ちはもうなくなるのか?
 それが本当に彼女にとっては幸せなことなのか?


「なにか、難しいこと考えてる?」
「う、うん……」
「そうだよね。私も、周りの環境が変わっても、家族や友達が寿命でいなくなっても、ずっと生き続けることになるなんて、想像できないもん」 
「じゃあ、番になるの、やめてもいいよ。今ならまだ間に合うから」

 心無いことを言って、ただ虚しくなる。
 本当に馬鹿だ自分。100年前、素直に一緒にいたいと伝えてれば、何かが変わっていたのかな……。

「本当は、やめてほしくないよね?」
「……うん」
「じゃあ、永遠に一緒にいる。これ決定ね!」

 彼女の方が前を歩いている。僕は、こんなに長く生きているのに、何一つ進歩していない。