私が天宮くんの家を飛び出した次の日。   
 学校の帰り、家の近くで天宮くんがまちぶせをしていた。

「ねぇ、昨日あれからすぐに追いかけたんだけど、清香ちゃん、いなかった」

「だって、天宮くん勢いよく追いかけてきそうだなって思って、隠れてた」

「隠れてた? どこに? なんで?」

「……だって、泣いてるのみられたくなかったから。場所はね、天宮くんの家のすぐ近くにある広場の木の後ろ」

 天宮くんは何か考えている様子。

「あそこか! うわっ! あそこ全然気にしてなかった。ていうか、めちゃくちゃ心配したんだから。電話も繋がらないし……もう、本当に会えなくなるんじゃないか?って」

「どうせ同じ学校だから会うでしょ」

「泣いてたのって、関わらないでほしいって、兄貴が言ったから?」

「……うん」

「俺はこれからも変わらずに清香ちゃんと接するから」

「う、うん、分かった」

 せっかく天宮くんと仲良くなれたのに、関わらないでって言われたからってその通りにするのは、なんか違う気がした。