話を終えると、姫たちはそれぞれの教室に向かう。
教室の前まで来て立ち止まった。
さっきまでは4人一緒で心強かったけれど、ひとりきりになると胃の辺りがちょっとだけキリキリと痛む。
よしっ!
気合いを入れ直して、教室に入る。
教室の中はざわめいていたのに一瞬で静まり、視線を浴びる。それは想像していた通りだった。
一歩足を踏み入れた場所で立ち止まっていると、爽やかな黒髪の男の子が目の前まで来て話しかけてくれた。
「二條さんの席、あそこだよ」
その男子が私の席を指さしてから案内してくれた。
「あ、ありがとうございます」
誘導されて私は彼のあとをついていく。
席は出席番号順で、案内された席はちょうど真ん中辺りの席だった。
「俺、根本晃。二條さんの後ろの席だから、何か困ったこととかあれば言って?」
「ありがとうございます」
後ろの席の人、優しそうで良かった!
明らかにこの教室の中で私は浮いている存在だったから、ほっとした。
席に着こうとした時、私の机のすぐ前に生徒手帳が落ちているのを発見した。
前の席に座っている人のかな?
拾って名前を確認したら『成瀬 樹』って書いてある。
「すみません! お名前、成瀬くんですか? これ落としました?」
「あぁ、返して?」
それだけ言うと、無愛想な彼は勢いよくその生徒手帳を私の手から奪った。
なんか私が拾ったのが悪いみたいな態度。お礼もないし……。
拾ったのを後悔しながら席に着いた。
そして輝く彼の金髪を後ろの席から眺めていた。
そしてふと思う。
この人だけは騎士に選びたくないなって――。
入学してから1ヶ月以内に騎士を決めないと、前の出席番号の人が騎士となるらしい。彼がなっちゃう。
それまでに決めないと……。
教室の前まで来て立ち止まった。
さっきまでは4人一緒で心強かったけれど、ひとりきりになると胃の辺りがちょっとだけキリキリと痛む。
よしっ!
気合いを入れ直して、教室に入る。
教室の中はざわめいていたのに一瞬で静まり、視線を浴びる。それは想像していた通りだった。
一歩足を踏み入れた場所で立ち止まっていると、爽やかな黒髪の男の子が目の前まで来て話しかけてくれた。
「二條さんの席、あそこだよ」
その男子が私の席を指さしてから案内してくれた。
「あ、ありがとうございます」
誘導されて私は彼のあとをついていく。
席は出席番号順で、案内された席はちょうど真ん中辺りの席だった。
「俺、根本晃。二條さんの後ろの席だから、何か困ったこととかあれば言って?」
「ありがとうございます」
後ろの席の人、優しそうで良かった!
明らかにこの教室の中で私は浮いている存在だったから、ほっとした。
席に着こうとした時、私の机のすぐ前に生徒手帳が落ちているのを発見した。
前の席に座っている人のかな?
拾って名前を確認したら『成瀬 樹』って書いてある。
「すみません! お名前、成瀬くんですか? これ落としました?」
「あぁ、返して?」
それだけ言うと、無愛想な彼は勢いよくその生徒手帳を私の手から奪った。
なんか私が拾ったのが悪いみたいな態度。お礼もないし……。
拾ったのを後悔しながら席に着いた。
そして輝く彼の金髪を後ろの席から眺めていた。
そしてふと思う。
この人だけは騎士に選びたくないなって――。
入学してから1ヶ月以内に騎士を決めないと、前の出席番号の人が騎士となるらしい。彼がなっちゃう。
それまでに決めないと……。