「私の騎士、辞めたいって言わないでね」

「言わない! 姫様こそ、騎士変えたいって言うなよ」

「騎士変える時ってふたりの承諾が必要だよね?」

「姫が変えたいって言っても俺が承諾しない。一生俺が騎士で、一生姫様を守る」

「い、一生?」

 今、成瀬くん、一生って言ったよね?

 彼は今、自身にとっても予想外な発言をしてしまったのか、真っ赤な顔して私から視線をそらした。

 それにつられて私の顔も熱くなる。

 成瀬くんは、正直な人だから、卒業してもずっと私のことを大切にしてくれて、全力で守ってくれる……そんな予感がした。

 自然に笑みが溢れてきた。
 成瀬くんも笑ってくれた。

 初めて見た成瀬くんの全開の笑顔が、太陽の光よりも眩しくて愛しい。

 その笑顔を見て、守られるだけではなく、私も成瀬くんを守りたいと思った。

「私も、私もずっと成瀬くんを守るから!」

 成瀬くんが無言のまま、私の手を強く握ってきた。
 一緒に逃げた時みたいに、胸の鼓動が高まった。

 あの時は、成瀬くんと手を繋いだからドキドキしたのかな――。