優吾が帰って無言が続いた。

先に話したのは紫陽。


「凛ちゃん...」

「ん?」

「ごめん...!」


そう言って紫陽の唇とあたしの唇が重なる。


「え...」

「こんなことしちゃいけないのわかってる...けど.....やっぱり僕も好きなんだ」


真っ直ぐあたしを見つめる紫陽。


「え...いやいや、でも...紫陽彼女は.....?」

「別れた...と言うか振られた」

「なんで...」

「紫陽くんの目はあたしを見ていない、だって...そう言われてようやくわかったんだ。僕、凛ちゃんがすき」


再び真っ直ぐあたしを見つめる紫陽。


「今の彼氏、優吾くん、そして僕。決めるのは凛ちゃんだから。僕は何年でも待つから。もう諦めない」


そう言って紫陽は保健室を出て行った。

初めて見た紫陽の男らしい姿。

いつもあたしの後ろに隠れて泣いていた紫陽はもう居なくて...。

そこにあったのは大きな背中だった。