Syo視点


僕に初めての彼女が出来た。

彼女が出来たら嬉しいって聞いたのに僕はあんまり嬉しくない。

それどころか早く帰りたい。


「一緒に帰んない？」


僕の彼女が言った。


「ごめんね、いつも凛ちゃんと帰ってるから」


そう言って僕は走って教室に戻った。

だけど凛ちゃんの姿は無い。

カバンも無い。


「凛なら帰ったぜ」


野球のユニホームを着たままの優吾くんが言った。


「そ、そうなんだ...」


何か用事でもあったのかな。


「空き教室でお前を見たって言ったら空き教室にお前を探しに行ったんだ。そしたら泣いて帰って来たんだ。お前、何かしたのか」


優吾くんの冷たい視線に怖い声。

凛ちゃん、僕が告白されてるの見たんだ。

でも僕凛ちゃんと話してないから凛ちゃんがなんで泣いてたのかわからないや。

凛ちゃんには見られたくなかったな。

知られたくなかったな。

僕に彼女が出来たこと。


「おい！」


気がつくと僕は優吾くんに胸ぐらを掴まれていた。


「ぼ、僕何も話してないよ、凛ちゃんと...」


優吾くんは僕を離した。

舌打ちをして走ってグランドに戻って行った。

な、なんだったんだろう...。