生と死と恋の間で~死神?!に恋した陰キャJKの1週間~

学校の屋上

さくらは、そのまま呆然と、屋上に立ち尽くしていた。

さくらのリュックは、さくらの足もとに無造作に置かれていた。

さくらの心とはうらはらに、さくらの目には、屋上からの美しい景色が映っていた。

屋上から見下ろす夕暮れに染まる街並みは、さくらの悲しい気持ちをよそに、オレンジ色とピンク色が混じり、

幻想的な時間を作り出していた。

街がオレンジ色とピンク色から薄紫色に変化していく。

もうすぐ日が暮れる。

こんな悲しい気持ちの時でも、自然はさくらの気持ちとは関係なく美しい。


その時、突然、さくらの前に、黒いスーツと黒いマント姿の真一が姿を現わした。

さくらは突然現れた真一に、もう驚きはしなかった。

「さくら・・・。」

真一が優しい声で言った。

さくらは、真一に向かって、

「真一・・・。このゲーム、真一の勝ちだね・・・。あと、私、どれくらい時間ある?」

と、さくらは無理に笑顔を作って言った。

「日が沈むまで。」

と、真一が静かに言った。

「そっか・・・。あとちょっとだね。最後に私の話、聞いてくれる?」

と、さくらが言うと、真一は、

「ああ。」

と、言いながら頷いた。



「私ね、最初はこのまま死んでもいいって思ってたんだけど、真一と一緒にいたら、なんか、楽しくなってきちゃって・・・。」

涙声になりながら、さくらが話し出した。

オレンジ色の夕日が半分になっていく。

真一は黙って静かに頷いた。

さくらは続けて、

「今まで、私一人で生きてきたつもりになってたけど、そうじゃなかったんだって分かって・・・。

周りに支えられてたんだなって。うちのママはね、私が階段から落ちた時も、何も聞いてこなかったの。

絶対何があったか知りたかったはずなのに、聞かずにいてくれたの。

私の気持ちを考えて我慢してくれてたんだろうなって・・・。

私が消えたら、ママ、悲しむだろうなあ・・・。」

さくらは気持ちが込み上げ言葉に詰まった。

さくらは、

「はぁ~。」

と、言いながら気持ちと呼吸を整えると、再び話し出した。

「真一にも謝らないと・・・。

最初に真一のこと、否定したけど、ほんとは私、夢も希望もあるし、彼氏も欲しい、

○○ランドでデートもしたいし、お姫様だっこもしてほしい。真一のこと否定してほんとにごめん。

最期の一週間、真一と過ごせてほんとに楽しかった。出来れば、死神と宙ぶらりんの魂としてじゃなく、

同じ高校生同士として、会いたかったなぁ・・・。」

さくらはとうとう話しながら泣き出してしまった。

『真一を困らせたくない』

という気持ちで必死に涙をこらえていたさくらだったが、話し出すと耐えきれず、ぼろぼろと大粒の涙を流しながら泣き出してしまった。

さくらは両手で涙を拭いながら、

「死にたくない・・・。死にたくないよぉ・・・。」

と言った。

さくらの口からこぼれた言葉に、真一は、辛い表情を浮かべた。

夕日が、残り少しになってきた。

青かった空が、オレンジ色とピンク色が混じり、徐々に薄紫色から夜の色に変わっていく。

真一の表情を見たさくらは、はっとした。

『こんな状態でお別れしたくない。

真一には、笑顔の私を覚えていてほしい。』


さくらは、目一杯の笑顔を作り、真一に向かって、


「真一、私ね、今まで、すいませんかごめんなさいばっかりで、お礼の言葉ってあんまり言ってきてなかったんだなって、

真一に気づかされたの。

感謝の言葉ってほんとうに大事だよね。もっとママや友達に言っておけばよかった・・・。

真一・・・、真一と出会えて・・・本当によかった・・・。

ありがとう・・・。」


と、溢れる涙で言葉に詰まりながらも、さくらは最期に真一に精一杯の感謝の気持ちを伝えた。



その瞬間、空間全体を揺るがすような、まるで大量のガラスが割れるような激しい大きな音がした。