6日目(月)
さくらは、いつもより早く家を出た。
いつもと違う時間に登校すれば、チャンスが増えるかもしれないと思ったからだ。
同じ学校の制服を見つけては、ボブの子や髪の長い子を探しながら歩いた。
キョロキョロしながら歩く姿は、自分でもやばいと分かってはいたが、タイムリミットが迫っているため、
さくらは人の目を気にするのをやめた。今までのさくらからは考えられない行動だ。
そうこうしているうちに教室に辿り(たどり)着いたが、結局、それらしい人を見つけることは出来なかった。
さくらは誰もいない教室にリュックを置くと、窓から校庭を見下ろした。
野球部やサッカー部が、朝練をしていた。
「全然見つからない・・・。」
さくらはボソッと呟(つぶや)いた。
『もう、これは、真一が最初に言ってた手あたり次第ありがとうと言って歩き回る方法しかないのだろうか・・・。』
真一はあのデート以来、さくらの前に現れていなかった。
『もしかして、真一は、もう勝った気でいるのだろうか。このまま私は真一に負けて魂を取られてしまうのだろうか。』
徐々にさくらは、本来の物事を悪い方に考える陰キャモードに突入し始めた。
その時、
「おはよう!」
と、さくらの背後から声を掛けられた。
さくらは振り向き、少し驚きながらも、
「おはよう。」
と返した。
「香山さん、今日早いね。」
事故後、登校した時に、さくらに声をかけてきた3人のうちの1人だった。
さくらは、
「あっ、うん。」
と返すと、
「ほんとは、ずっと香山さんのこと気になってたんだよね。」
と、言った。
「え?」
さくらは驚いた。陰キャの私は友達以外のクラスの女子の視界には、
入っていないものだと思っていたからだ。
さくらが驚いた表情をしていると、
「香山さん4人でいつも楽しそうにしてたのに、突然独りでいるようになったし。」
と言った。
「気づいてたんだ。」
「うん。何も出来なくてごめん。まさかあんなことになるなんて・・・。」
さくらは話の流れに乗って思い切って聞くことにした。今は、少しでも手掛かりがほしい。
「あの・・・、あの事故の時に証言してくれた人って誰か知ってる?」
